革について知ろう!
皮と革の違い
皮革製品用として供給されている原皮の多くは家畜である牛、馬、豚、羊、山羊などであって、食用の副産物として供給されているものです。動物の皮は、鞣されて初めて革になります。「生皮」を「革」に変化させる薬品が「鞣し剤」です。
「皮」とは、動物の身体から剥いで鞣される前の、そのままでは腐ってしまう生の状態をいいます。「革」は、鞣されて加工のできる状態であり、腐ったり変質しないように仕上げたものです。皮革は皮と革の両方を総称した意味をもっています。鞣しとは皮を革に変化させるのに適した薬品、つまり鉱物性クロームや植物性タンニン等を用い、下記のように性質を変化させる工程となります。
- 生皮を腐らないものにし、長期間にわたり変質しない。
- 水に漬けても元の状態に戻ることはなく、乾燥しても膠(にかわ)状にはならない。
- 充実した風合いをもたせ、強靭さを安定させる。
英語では、「皮」をスキン(skin)、ハイド(hide)と云い、「革」はレザー(leather)と呼ばれ、総括した呼称である「皮革」を欧米ではGenuine Leather(ジェニュイン・レザー)と呼んでいます。
皮の構造
牛皮断面の組織構造図
動物の皮は、外部からのいろいろな刺激や危害から体を守るために、繊維を織ったような緻密な美しさをもち、驚くほど精巧で合理的な構造をしています。皮の断面を、拡大して観察すると、構造の違う表皮層、真皮層、皮下層からなりたっていることがわかります。
表皮層は、後で説明する革の製造工程の中の、脱毛・石灰漬け工程で取り除かれ、皮下層も除去されます。いわゆる真皮層だけが革になるのです。真皮層は、繊維状のタンパク質であるコラーゲンが束(たば)になり、さらにその繊維束が、立体的に複雑に絡み合っています。図で見る通り、真皮層の表面に近い方が乳頭層(銀)で、この層には毛根があり、表面に毛穴があって、しかも繊維構造は網状層と比較するとかなり緻密な構造をしています。
牛皮断面の組織構造図
皮が革になるまで
実際には皮が革になるまでに必要な約24種類もの作業工程を、主要な6つのステップでご紹介します。
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1 脱毛・石灰漬け石灰乳に浸漬させ、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。皮革独特の柔軟性を得るのに役立つ。
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2 脱灰・酵解皮中に残存した石灰を取り除く。これにより鞣材の浸透を容易にする。
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3 浸酸皮を酸性溶液中に浸漬させて鞣剤の吸収に適する状態にする。
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4 鞣しクロム鞣しや植物タンニン鞣しなど、用途に応じた特性を与える。
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5 乾燥革中の染料や加脂剤を固着させるためにじっくり自然乾燥させる。
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6 製品革数々の工程を経て出来上がった革。ここから初めて商品作りが始まります。
1 脱毛・石灰漬け石灰乳に浸漬させ、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。皮革独特の柔軟性を得るのに役立つ。
2 脱灰・酵解皮中に残存した石灰を取り除く。これにより鞣材の浸透を容易にする。
3 浸酸皮を酸性溶液中に浸漬させて鞣剤の吸収に適する状態にする。
4 鞣しクロム鞣しや植物タンニン鞣しなど、用途に応じた特性を与える。
5 乾燥革中の染料や加脂剤を固着させるためにじっくり自然乾燥させる。
6 製品革数々の工程を経て出来上がった革。ここから初めて商品作りが始まります。
参考文献:皮革(かわ)と皮革製品の知識